アスペルガーとして楽しく生きる 吉濱ツトム
吉濱ツトムさんと言う方の書かれた「アスペルガーとして楽しく生きる」という本を読みました。
自身もアスペルガー症候群の患者として、アスペルガー症候群に悩む人たちのカウンセリングを生業とされているようです。
- 作者: 吉濱ツトム
- 出版社/メーカー: 風雲舎
- 発売日: 2015/03/27
- メディア: 単行本
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アスペルガーだからこその生き方
本書は大きく3つのパートに分かれていて、
- 前半(1,2章):吉濱ツトム先生自身の生い立ち、病歴
- 中盤(3,4章):アスペルガー症候群に対する具体的アドバイス
- 後半(5章):吉濱先生が実際にカウンセリングした例の紹介
となっていました。
前半は結構スピリチュアル寄りの発言がいろいろと出てきて、理系人間の自分は胡散臭いなぁと思いながら読んでいたのですが、中盤以降はちゃんとした科学的理論に基づく内容になってきたので安心しました。
僕は、発達障害に関する専門書や論文を読みあさりました。そして、発達障害はトラウマなどの心の問題ではなく、脳の器質障害であること、それを証明する長期的な臨床研究の蓄積が膨大にあることを初めて知ったのです。そこには改善方法も論理的に分かりやすく示されていて、しかも多くの人に即効性があることが、データで明らかにされていました。
- 「アスペルガーとして楽しく生きる」 84Pより
とありました。
具体的な改善方法
本書の中では特に第3章、「僕が僕に行なったアスペルガー改善法」という部分が最も参考になりました。
吉濱先生が挙げる、アスペルガーの具体的な改善方法を紹介します。
- 生理学に基づいた健康法
- 環境を変えることで行動を変える(環境圧力)
- 行動を変えれば心も変わる(行動療法)
- ものごとを正しく受け止める(認知療法)
- 体を鍛える(肉体強化)
- 具体的に生活の中に取り入れる(習慣化)
生理学に基づいた健康法
ここで吉濱先生が紹介されていたのは、主に食餌療法でした。
- 一日一食
- ローカーボ(糖質制限食)
- 必須栄養素のサプリメント
の3項目です。
が、食べることが唯一の楽しみの自分にとっては、一日一食と言うのは拷問に近い・・・
2番目の糖質制限食については、最近体重が気になり始めたので意識して取り組んでいました。実際にはあまり体重が減っていないので、糖質制限の仕方が甘いのかも知れませんが。
3番目のサプリメントについて。吉濱先生曰く、
アスペルガーには、ビタミンB群、ビタミンE、鉄、亜鉛、EPA(飽和脂肪酸)、タンパク質が不足しています。
- 「アスペルガーとして楽しく生きる」 87Pより
とのこと。これらの栄養素を複合的にサプリメントで取るとよいとのことでしたが、具体的な製品名については紹介がなかったのでちょっと困りました。
上記の栄養素をまるごとamazonの検索窓に入力したら、みどりむしのサプリメントがヒットしましたが、ミドリムシは・・・さすがに・・・「ユーグレナ」と言ってくれればまだ抵抗がないのですが。
≪みどりむしファインプラスα110粒入り(12%増量)≫ミドリムシ(ユーグレナ)サプリメントの正規品(栄養素は59種類)/東京大学共同研究開発・製造
- 出版社/メーカー: 発明株式会社
- メディア: ヘルスケア&ケア用品
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環境を変えることで行動を変える(環境圧力)
ここで紹介されている環境圧力とは、犯罪心理学で有名な「割れ窓理論」のことと思いました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/割れ窓理論
アスペルガー症候群は周りの環境にとても影響されやすいとのこと。意識して自分の身の回りの環境を心地よいものに整えていくことで生きやすくなるという内容です。
自分は正直に言えば、よく知らない人とのコミュニケーションをとるのは苦手なのですが、今の職場ではそれが必須なので、少し疲れてしまうのかも知れません。かと言って仕事を変えるわけにもいかないから辛いです。
行動を変えれば心も変わる(行動療法)
アスペルガーの問題行動の多くは、その人の心の持ち方とは関係がありません。たいていの場合、適切な行動パターンを知らないことから起こります。
(中略)
心が変われば行動も変わると言う考え方もあるでしょうが、心を変えるなんて至難の業。ならば反対に、行動を変えることによって、心や思考、感情、意識を変えてしまおうというのが、行動療法です。
- 「アスペルガーとして楽しく生きる」 98Pより
適切な行動パターンを少しずつ習得して行くようにせよとのこと。その際も一気にやろうとせず、習慣化するものを1ヶ月に2つまでに絞ってやる方が良いとのことでした。
自分の場合は、どちらかと言うと不適切な行動(定型の人は絶対にしないような悪癖)をしないようにするのが主眼になってきそうで、どうしたら良いのかよく分かりません。
ものごとを正しく受け止める(認知療法)
アスペルガーの多くは、自分に対する認知や、外界に対する認知が歪んでいます。その結果、自分や他人を苦しめるような思考を四六時中めぐらせることになってしまうのです。認知が正しく、健全であれば、それに見合った正しく健全な思考、感情が生まれるはずなのに。
- 「アスペルガーとして楽しく生きる」 99Pより
ここで述べられているアスペルガー特有の「認知の歪み」については自分も自覚することがあって、身の回りの人々が自分に善かれと思ってやってくれたことでも、「自分のことを哀れんでいるんだ」とか「自分のことを嫌っているんだ」と思ってしまうことがよくあります。その思いが態度に出てしまい、相手に嫌われてしまうことも多々あったように思います。
吉濱先生曰く、「平均的な人たちの認知を積極的に採用」し、それを自分の誤った認知に上書き修正していくことで、長期的に改善して行ったと言うことです。
体を鍛える(肉体強化)
現実世界においては、肉体が主役になります。つまり、意識が肉体に与える影響よりも、肉体が意識に与える影響のほうが大きいと考えてきました。肉体が不安定になれば、意識や感情も不安定になります。
- 「アスペルガーとして楽しく生きる」 101Pより
これは一言で言えば、「健全なる精神は健全なる身体に宿る」ということでしょう(尤も、この金言自体は誤訳と言う話もありますが)。
ネガティブな意味では、ここで述べられていることはすごく納得できます。というのは、自分は体が疲れている時は判断力と自制力がうまく働かず、些細なことから妻カサンドラと口論になってしまうことがあったからです。懲りて、疲れている時は余り込み入った話をしないように注意してきました。
運動面では、最近ingressにハマっていて、毎日1時間以上ウォーキングしているので、それが良い効果を発揮してくれると良いと思うのですが。
具体的に生活の中に取り入れる(習慣化)
そして最も肝心なのは、この五つの項目を生活の中に取り入れて行くということです。「生理学に基づいた健康法」「環境圧力」「行動療法」「認知療法」「肉体強化」を日常生活に取り入れて、日々の習慣にしていきます。マイナスの行動をできるだけ減らしたうえで、望ましいプラスの行動をいかに増やしていけるか、それが重要な課題です。
- 「アスペルガーとして楽しく生きる」 102Pより
そのため僕はまず、習慣とルールを明確にわけるよう、心がけました。
健康についていえば、「炭水化物を摂らない」というのは習慣です。
ルール化というのは、たとえば「低血糖になったときはなにもできないから、映画を観ておとなしくしている」といった、ある特定の状態における具体的な対処法のこと。
- 「アスペルガーとして楽しく生きる」 102Pより
自分にとっていちばん難しいのが、この「習慣化」かも知れません。「のど元を過ぎれば熱さを忘れる」という諺がありますが、自分は何か後悔するような出来事があって、反省したとしてもそれが長続きをしないという悪い面があります。
それで妻カサンドラとは繰り返し喧嘩になって、ついには別居を言い渡されるまでに発展してしまったのですから。
「習慣」と「ルール」をわけて考えるという吉濱先生の発想は新鮮でした。
自分が取り入れるべき習慣とルール
そこで、自分が取り入れるべき習慣とルールを考えてみました。
習慣
- サプリメントを摂取
- 炭水化物を摂らない
- 家ではお酒を飲まない
- 運動を定期的にする(ウォーキング、筋力トレーニング)
- 他人のせいにしない(自分の悪癖です)
- 定期的に掃除する(環境圧力の一環)
ルール
- 疲れているときは込み入った話をしない
- 外でやむなく飲酒をしたときは、酔いを覚ましてから帰ってくる
- キレそうになったらその場を離れる
とりあえず以上のものを習慣化していきたいです。また、思いつくものがあったら追記して行きます。
まとめ
アスペルガー特有の「過集中」がでてしまったせいか、3時間くらいかけて一気に記事を書きました。長くなってしまいましたね。
本書「アスペルガーとして楽しく生きる」は、アスペルガー者として、かつアスペルガー専門のカウンセラーとしての経験から書かれた具体的な示唆に富む一冊で、アスペルガーに悩む方々には是非読んで頂きたい一冊です。
ではまた